若狭信吾

フォーク酒場6575はオープンして1年7ヶ月経つ。その新店準備からだから約20ヶ月の間、横浜から郡山に来てひとり暮らしをしながらボクの夢を一緒に手伝ってくれた相棒である。

元々は彼の母親とボクが小学校からの同級生であり、数年前に中学の同窓会で再会したことにはじまる。ピアノが弾ける中学生の息子が調理師になりたがっているという相談だった。そこでボクは同級生のプロのコックやパティシエの友人に紹介し、彼の進路相談をしてもらった。もちろん高校くらいは出ていた方がいいとのアドバイスだった。
それで県立高校に入学した彼だが、2年の中途で学校を辞めてしまったらしい。

その後、まさか自分が飲食店経営をするなんて思ってもいなかったから彼のことは忘れていた。しかし、いざはじめるにあたり料理を作る人間が必要だと気づき、スタッフ探しのとき彼のことを思い出したのだ。それで、母親に相談するとふたつ返事で彼に説得してくれた。彼も承諾してくれて、事はトントン拍子に進み、その週に郡山に来てもらい、アパート探しがはじまった。

ボクのコンセプトは今までにないお客様参加型の飲食店だった。18才の彼と一緒に試行錯誤をくりかえし、なんとかフォーク酒場6575のオープンにこぎつけた。その後は、お客様の意見を聞き入れながら今の営業スタイルになっていった。彼の素直でやさしい性格は年上(すべてのお客様もスタッフも)の人から好かれた。この環境の中でクラシックピアノ、アコースティックギター、ドラムといった楽器の腕を伸ばしていった。

この春、彼が「もう一度一からやり直したい」と申し出た。途中で片腕をなくすとは思ってもいなかったので、はじめは困惑したが、やはり横浜に返すことにした。彼は通信制高校に入るそうだ。何事も中途で投げ出さないで今度こそ真面目に勉強してほしい。

離れた地で、がむしゃらに働いた経験はきっと今後の人生に役立つと思うし、いい修行になったのではないかと思う。ボクがいい加減な分フォローしてくれたことにも感謝したい。きっと20才になった彼にとって6575は部活動のようなものだったのかもしれない。先輩のお客様やスタッフに支えられて成長できたのだから。

ここを離れてもなにかの折には帰ってきてほしいものである。

信吾 ありがとう







Posted by cozyikinari at 2008年05月16日14:18
Comments(18)
この記事へのコメント
誰にだって、遠回りしたり、戻ったり、つまづいたりした事がある筈です。一度だけの人生だから、夢に向かって頑張って欲しいです。マスターと出逢い、6575の皆さんと出逢えた事の想いが、信吾さんの心に強く刻み込まれたことでしょう☆
何年後かに 驚くほど成長した信吾さんに再会するまで、マスター年取れませんよ〜(*^-^)b
Posted by SACHI at 2008年05月16日 23:09
お客さんにもマスターにもここまでお世話になったら頑張るしかないですよね。マスターありがとうございます。
Posted by しんご at 2008年05月17日 01:44
ももちゃんといい信吾君といい!晴れの卒業ですが本当は少々(おおいに)さびしいですね~><;

何回か数える程しかお会いしてないのにこんな気持ちにさせてくれるのは6575のお店の雰囲気がアットホームなせいでしょうね
マスターのコメントに目頭が熱くなりました
本当に素晴らしい出会いの場所です

★★★信吾君花丸で6575卒業おめでとう★★★
Posted by あっちゃんママ at 2008年05月17日 01:44
信吾くんにとって10代で大きな勉強が出来たんじゃないでしょうか?!
これから、信吾くんがいなくなって不便なこともマスターに迷惑をかけることもあるかと思います。
だけど、スタッフが一段となり6575、マスターを支えていかなきゃならないと感じています。
マスター、まだまだ未熟ですがよろしくお願いします(^O^)
Posted by 若菜 at 2008年05月17日 01:47
ご成人、ご卒業、おめでとうございます!

ふと、僕がハタチになった時の事を思い返してみました。。。

・・・何も思い出せませんでした。

ようするに、それだけ薄っぺらな生活を送っていたという事なのでしょう。

でも信吾君は違います。

この先何年たっても、『ハタチになったあの時』をはっきりと思い出す事ができるのではないでしょうか。

池の水が澄んでいれば、遠い遠い月の影も鮮明に映ります。

同じように、どんなに距離が離れていても、お世話になったみんなへの感謝の心を忘れない限り、想いは永遠に通じ合うのではないでしょうか。

陰ながら、応援しております。

この度は、本当におめでとうございます☆
Posted by Brian at 2008年05月17日 08:20
SACHIさん

本当にそうですね。迷ったり、悩んだり、紆余曲折は誰もが人生の中で経験することですものね。

彼が一人前になって帰ってくるのは楽しみですが、その日もボクはあいかわらず歌っているでしょうね(笑)
Posted by cozy at 2008年05月17日 12:37
しんご

帰ったら家族や友達の温かさを満喫してくれ!
Posted by cozy at 2008年05月17日 12:54
あっちゃんママさん
音楽を愛する人たちはみんな家族のようなものです。

たとえ人種、国籍、性別、世代が違ったとしても愛があれば戦わずに済みますものね。
Posted by cozy at 2008年05月17日 13:01
Brian



絆だね。
Posted by cozy at 2008年05月17日 13:06
シンゴありがとう!君のおかげでオレはまたバンドを始める事が出来たよ�マスターの夢と同時にオレの夢も叶えてくれたね!これからは自分の夢も叶えてくれよ!
Posted by タクジ at 2008年05月17日 19:06
シンゴちゃん おめでとう

「若い時は 二度無い ドーンとやれ 男なら~」とチーターも唄ってます。

ドーンと行ってみよう!

それからねえ 二十歳をすぎると、1年が過ぎる速度が、ドンドン加速していくから 要注意
アッという間に、マスターや6575の常連さんの年になっちゃうからね p(。・_;。)qガンバレ
Posted by ゴレ at 2008年05月18日 11:44
シンゴ 卒業おめでとう♪

店に入るとカウンター向こうから「おはようございます!」と

元気な声。その身内扱いの掛け声が我々レギュラーを

店と客の境界を振り払ってくれてたんだよ。

マスターが皆に溶け込んだスピードは、シンゴのおかげなんだ♪

開店時からシンゴを見てるけど

ものすごい勢いで成長したね。0から作り出す苦労と
形になり結果を残したんだから(^^)v

俺にもシンゴと同じ年のクソガキいるけど、家に居ないから
自分の息子の様に見てたよ。 シンゴに癒して戴きました。

6575の事は心配するな!
マスター心配だけど、6575レギュラーがマスターと店を
支えて行くから(^^)

横浜と言う都会育ちで、田舎(ふぐすま)を故郷に
出来るシンゴは幸せモンだよ。

いつでも里帰りして来い。 店で待ち伏せするからよ!
Posted by JIRO(西遊記ー八戒) at 2008年05月19日 11:16
昨夜よっちゃんの手料理を信吾と一緒にいただいた。ユーティリティーズの高山さんも同席してくれた。
信吾の二十歳の誕生会と送別会を兼ねて。
前日から煮込んだ大根の煮つけは天下一品!ごちそうさまでした。
信吾の3倍の年齢の彼ら、若者への気遣いがうれしい。
Posted by cozy at 2008年05月19日 15:51
よっちゃんへ

も少し早く呼び出してくれ・・・(ーー;)

あの時間じゃ、オラが酒に煮込まれてたよ。

裏飯屋ぁ~
Posted by JIRO(西遊記ー八戒) at 2008年05月19日 17:54
あっちゃんママさんへ
僕はもう泣きました。本当にありがとうございます。
Posted by しんご at 2008年05月21日 22:36
ぶらいあんさん。

池の水が澄んでいればか…頑張ります。
Posted by しんご at 2008年05月22日 03:22
タクジさんへ。

タクジさんのギターは大好きです。また一緒にセッション出来るのを楽しみにしてます。
Posted by しんご at 2008年05月22日 03:23
ジローさんへ。

ありがとうございます。僕の中ではジローさんはお店の親衛隊長ですね。お店を支えてもらってしみじみ思います。ジローさんがいるなら大丈夫だ(笑)
Posted by しんご at 2008年05月22日 05:58
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